今回は、恐らく全絵師が経験したことがあるであろう悩みを解決する記事を用意しました。
こんな方におすすめ
- イラスト初心者の人
- 上手くならなくて絵が嫌いになりそうな人
- 効率的に画力を上げるコツを知りたい人
本記事の内容
- 絵の練習で良くありがちな間違い
- 「描けない」を「描ける」に変える効率的な描き方
まず初めにお伝えしておきたいことは、こと現代において『絵がうまい=何も見ずに手で何でも描ける』ではないということです。
もちろん上記もひとつの画力のあり方ではあるのですが、もっと本質的な事をいうと、
『絵がうまい=絵を作り上げる総合力が高い』状態のこと。
初心者の方のお悩みを聞いていたり、自分が描き始めの初心者だった頃を思い出すと、『絵が描けない。上手くならない』と悩んでいる人ほど、上記の縛りに囚われているんじゃないかな、と感じます。
ですので結論から言うと、『上手く描けない』という悩みの解決策は、
- 画力に関する認識の違いを正しく矯正する
- 効率的な描き方や練習法を身に着ける
になります。
今回の記事は、「もし僕が初心者に戻って0から始めるとしたら実践する」という方法になります。願わくば3年前に知りたかったやつです(涙
この記事を読むことで、『絵ってこんなに自由だったんだ』と知ると共に、『効率的に画力を上げる方法』を知ることができます。
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『絵がうまい』に対する認識を変えるのが上達の近道
はじめに分かりやすく、絵のあるあるをいくつかあげてみます。
□ 資料を見て描くのはカッコ悪い。
□ 模写は人の真似だからダメ。
□ いきなり線を引けた方が上手い。
□ デジタルに頼って描くなんて絵じゃない。
□ 効果レイヤーや各種描画ツールを使って描くなんて実力じゃない。
□ 写真を使うのはズルい。
□ 描き方・進め方には明確な決まりや手順がある。
いかがでしょうか?
上記の考え方が正しいか否か、という話ではないです。
あくまで、『初心者の方が効率的に絵を学ぶ』という観点においては、少し適切ではないかな…?という話です。
『絵がうまい=絵を作り上げる総合力が高い』こと
もっと具体的に表現するなら、
『描き方の選択肢を多く持っている』ことです。
上記チェック項目は、描き方の選択肢を極端に狭くしてしまう可能性があるという意味で、「適切ではない」という表現をしました。
というか初心者の頃の僕もまさにそうでした…
描き始め3ヶ月くらいは、ぶっちゃけただただ描くのが辛い苦行のような毎日でした。
『描き方』に関してどんな考え・認識を持ってるかによって、絵が上手くなるか否かが変わるといっても過言ではありません。
参考までにここ数年の僕の例
イラストを仕事にしたい!と思い、本格的に勉強し始めたのが2016年のあたりです。
ぶっちゃけ『描き方の選択肢を多く持つ』という認識を持ってからは、絵の表現の幅が圧倒的に拡がりました。
このように、『絵を作り上げる総合力を高くする』こと、『描き方の選択肢を多く持つ』ことが、絵の上達の近道なんじゃないかな、と確信しています。
例えば有名なイラストレーターさんの中でも、様々な独自の描き方を駆使して神イラストを制作してらっしゃる方もいます。
ここでは筆者が特に大好きな神イラストレーターさんをお二人ご紹介します。
・さけハラスさん(@hunwaritoast)
旅するイラストレーターとして、写真とイラストの融合をテーマに、美麗でどこかノスタルジーを感じる風景を描かれている神絵師さん。
写真を背景の素材に使う「フォトバッシュ技法」を用いた独自の表現をされている超人気イラストレーターさんです。
・わいっしゅさん(@yyish)
まるでファンタジーゲームやSF世界に迷い込んだような感覚に陥る、繊細で緻密な背景描写を得意とする神絵師さん。
3Dツールで背景をモデリングして制作し、それらをPhotoshopでレタッチする、2Dと3Dの融合という独自の技法を開拓されている超人気イラストレーターさんです。
ここからは上記のチェック項目に添って、解決策を一つ一つ提示していきます。
絵を上達させるためのヒントにして頂ければ幸いです。
資料を見ることで『形が分からない』が激減する
今この瞬間、1枚の白紙を渡されて、
「ワンピースのチョッパーをそっくりに描いてくれ!」
と言われたらどうでしょうか?
- ?あれ?帽子ってどんな形だったっけ?
- ?ボタンって付いてたっけ?
- ?角ってどんな形だったっけ?
…と、意外と記憶が曖昧で筆が鈍るはずです。
では逆に、「このお手本を横に置いてチョッパーを描いてくれ!」の場合はどうでしょうか?
※上手に形が取れないとか、そっくりにならない…など、画力の部分は一旦置いておいてください。
重要なのは、少なくとも形で迷うことは無い、という点です。
帽子の形も分かるし、ボタンの位置も角の形も分かる。
雑な例えで恐縮なのですが、これが資料を見ることの重要性です。
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お手本が横にあるだけで、描く難易度は格段に下がります。
「何も見ずに描けた方がかっこいい」とか思っていたわけでは決してありません。
ではなぜ資料を見なかったのか?
今当時を振り返ってみると、原因らしきものが分かりました。
資料を見る=カンニングすること
と思っていたのかな、と。
資料を「見ない」んじゃなくて、見るのが「後ろめたい」。
テストで解答を見る行為はカンニングといって、厳しく罰せられる。
暗記して挑むことが求められる。
解答を見る行為=悪い事・ズルいこと・いけないこと
という認識が無意識に刷り込まれているのではないか?と考察します。
しかし絵においては、カンニングこそが重要です。
カンニングとは、観察しながら正しく描くということ。
オーケストラの演奏でも楽譜を見ながら引きますよね?
正しいお手本を見ながら正しく描く。最良のパフォーマンスを出す。
資料を見る=カンニングすること=悪い事という認識をまず外してください。
資料を見ながら描くことで、少なくとも「形が分からず筆が止まる…」ということは激減するはずです。
上達の秘訣は「模写」。上質なオリジナルは模倣から生まれる
初期の練習では、模写が一番効率が良い近道です。
とはいえ、「オリジナルのイラストを描けなきゃいけない!」「他人のコピーなんて嫌だ!」、と思ってる人もいるかと思います。
実際に僕も初心者の頃同じ事を思ってました。
しかし最初に意識しないといけないのは、どんな有名イラストレーターと呼ばれている方も、最初から人気を博す独自の絵柄を描けたわけではないない、ということです。
前提として、この世のあらゆるデザインは、既に存在する要素の組み合わせで成り立っています。
どんなデザインにも「素になった要素」が存在する。
それはモチーフだったり、設定だったり、属性だったり、基になる神話だったり…
絵におけるオリジナルとは、0から何かを生み出すことではなく、「どの要素を組み合わせるか?」「どうアレンジするか?」というのが正しい解釈。
『すべての創造は模倣から出発する』
という有名な言葉ある通り、オリジナルを生み出すためには、まずは素となる要素を徹底的に習得する必要があるのです。
その最も効率が良い手段が『模写』、ということです。
模写を通して学べることは、
✅どんな構図で描かれてるのか?
✅顔の描き方は?表情は?
✅どんな色使いをしているのか? ……etc
など、「技術」や「描き方」だけではなく、
✅上手い人はどんな点を意識して描いているのか?
✅どんな意図があってその構図にしているのか?
という、「絵作りの考え方」もです。
名作には名作たる理由が有ります。
お手本を真似て描くことで、『今の自分の絵との違い』そして『自分に足りない要素』が解ります。
- 人体の描写力が足りていないのか
- 顔が歪んでしまっているのか
はたまた、
- 陰影や濃淡・明暗の区別が甘いのか
などなど、具体的に把握できます。
そうすることで初めて、『同じレベルの絵を描くためには、何を習得しなければいけないのか?』という改善策が明らかになる感じ。
と、具体的な作戦を練れる。
とにかく徹底的に真似ることで、お手本の絵師が使う「うまい絵を作る技術や考え方」を効率よく習得できる訳です。
徹底的に真似てみる!という点が重要です。徹底的です。100%のコピー体を作る勢い。ぶっちゃけ中途半端に真似たり、勝手なアレンジを加えると、「描き方が異なるんだから、違って当然」と、差を正当化してしまいます…(自戒)
そうやって色々な人の絵を何度も模倣して、どんどん取り入れることで、描く技術や知識、考え方が蓄積されていきます。
やがてその内、『この描き方は自分には合ってないな…』『こうすればもっと良くなるかも』『この人とあの人の絵柄を組み合わせたら面白いかも』などなど、取捨選択や独自の組み合わせができるようになる。
これこそ、自分の絵柄…つまりオリジナリティの形成と言えます。
模写を推奨していますが、あくまでも『個人の勉強用』に留めてください。
元の絵の制作者の許可なく、『個人利用』の範疇を超えた使用をした場合は、著作権法違反に問われる場合もあります。
『個人利用』の範疇を超えた使用とは、第三者の目に触れるSNSなどにアップする行為も含まれます。
(厳密には、著作権は親告罪といって、著作者が訴えて初めて罪に問われる性質のものです。同人誌やファンアートをはじめとした二次創作物のほとんどは、作者の許可を得ていることの方が稀ですが、ファン活動の一環として黙認されています。
ただし、黙認されているだけで法律上ではシロでない、あくまで個人の勉強に留める、という点は一応留意しておいてください。)
下描きを描くことで劇的に描きやすくなる
下描きって描いてますか?
実は絵は、いきなり完成形が描かれているわけではありません。
描き進める際に、いくつもの補助線を引いた上で描かれています。
ラフとかアタリとか、単に下書きと呼ばれます。
いきなり白紙から描くというのは、ぶっちゃけプロでも難しいです。
ほとんどのイラストは、あらかじめ下書きを描いて描きやすくした上で描かれているのです。
微妙にニュアンスは異なりますが、消せないボールペンで手紙を書く際に、事前に鉛筆で下書きをする感じに近いです。
ただ困ったことに、肝心の下書きの補助線。
描かれる過程で消されてしまい、最終的な完成絵には残っていません。
ですので、『そもそもどんな風に書いたら良いのか分からない!』といった方に向けて、筆の動きを動画にしてみました。
1つ目の動画は、補助線を使ったごくごく一般的な描き方です。
(動画)
ポイントは、
✅本番の線を引く前に、大まかな形を描く
✅下書きをなぞる要領で本番の線を引いていく
です。
そしておまけとしてもう1つ!
これは僕を含め、主に「厚塗り」という方法で絵を描く人に多いのですが、塗りで下書きを作る方法です。
(動画)
ポイントは、
✅描く物体の形に大まかに塗る
✅大まかな塗りを整えていく
✅ある程度形が整ってから線を引く
です。
この方法は、「下描きの線を引きたいけど線が震えてしまって引けない…」といった方に特にオススメします。
◆◆◆◆◆
下描きについてまとめると、
- 普段見る完成絵は、いきなり描かれている訳ではない
- 大雑把に描いて(塗って) ⇒ 徐々に詳細を整えていくと描きやすくなる
という点です。
是非試してみてください!
ツールを活用して「効率的」にクオリティを上げる
極論を言うと、ある意味この項目こそが、現代のイラストにおいて一番画力に直結する、と言っても過言ではないです。
ぶっちゃけるとかなり!うまくなります!!いや、お世辞抜きで
なぜなら、冒頭でお伝えした
- 『絵を作り上げる総合力』
- 『描き方の選択肢を多く持つ』
ことそのものだからです。
例のごとくあるあるを用意しました。
□ 1枚のレイヤーで描けた方が良い
□ レイヤー効果使うなんて卑怯
□ 色調補正機能なんて反則だ!
□ そもそもデジタルは楽していてズルい!
…はい。初心者の頃の僕も見事に当てはまってる項目ありマス(自戒)
例えば下のイラストを見ても、ツールや補正機能が如何に絵のクオリティに影響を与えるか分かってもらえると思います。
という考えを、まずは持ってください。
デジタルイラストが出始めた頃、「デジタルは絵なんかじゃない!」と揶揄する人がいたそうです。(というか未だに界隈で見ることある…)
- PCに頼るなんて自分の技術じゃない。
- 絵は苦労して描くものだ
…etc
と、技術による効率化を極端に嫌悪する人もいますが、ハッキリ言って無視して問題ないです。
(喩え話ですが、洗濯をする際に『洗濯機を使うのはズルい!手で洗え!』と言うのと同じ程度の話です。洗濯機を使うのはその方が早くて効率がいいから、です。)
そもそもツールや機能は単なる道具(画材)であって、それをどう扱えるかは、結局のところ本人の立派な技術です。
僕も含め、毎日現場で絵を描くプロの絵描きは、様々な機能や技法を駆使して、「効率化」と「作業の簡略化」を図っています。
早い話が、いかにツールを駆使して、楽にクオリティの高い絵を描けるか。
僕が関わったことがある背景イラストの一例を出してみても、
- ゲームのコンセプトアート
⇒写真や3Dで作った素材がバンバン使われます。 - 映画のポスターアート
⇒背景やモンスター、メカには3D素材がふんだんに使われていますし、人物に至っても発光など特殊効果やエフェクトがいくつも掛けられています。
今日びイラスト業界において、デジタル技術は「使うのが前提」です。
『現代において最も画力に直結する』といった理由はここにある訳です。
特にイラストでご飯を食べたい!と思う場合は、積極的にデジタルを効率よく扱える技術を習得することを推奨します。
写真を使うのはズルではない
前項の補足ですが、最近背景イラストの業界を中心に、写真素材を使う「フォトバッシュ」という技法が有名になってきました。
フォトバッシュとは
複数の写真を素材として組み合わせて、1枚のイラストにする技術のこと。
写真(photo)+組み合わせる(bash)
元々ゲームや映画なんかのコンセプトアートの制作に使われていた技法です。
コンセプトアートとは作品の企画段階において、作品のイメージ・世界観を作る為に描かれるイラストのこと。開発初期は作品の明確なコンセプトやイメージが決まっていない状況ですので、より多くのイメージ図を描き起こす必要があります。
そこで写真を使うことで、より早く・説得力のあるイラストを作ることができるという訳です。
背景を白紙から手描きだけで描き起こすのではなく、写真素材を用いることで速度を上げて、効率よく絵の完成度を図る技術。
フォトバッシュは『0から描き起こさなくても絵になる』手段の一つなので、個人的には初心者の方に最もオススメしたい技法です。
「上手く描けない」
「理想の絵が完成しない。」
「自分は下手な絵しか描けない。もう辞めたい…」
これが一番勿体ない!
イラストは、正しい努力の方向で地道に練習を継続さえすれば、必ず上達するものです。
ですので、初期からある程度のクオリティの絵が描きやすいフォトバッシュ技法は、描くモチベーションを高める意味でも最適、と考えています。
ただ一般的に、写真を使うことに抵抗を覚えたり、敬遠する人もいるのではないかと思います。
フォトバッシュ技法は、海外のコンセプトアート市場ではメジャーな技術となって久しいですが、日本ではまだまだ浸透しきっていない現状といえます。
僕の考えをお伝えると、『技法はイラストを完成させる為の手段に過ぎない』ということです。
下のイラストを見てみてください。
写真を使うだけでそのままOKかと言われれば、答えはNoです。
単に写真を切り貼りしただけでは、チグハグな画像になってしまいます。
- 色味を合わせる色調補正
- バラバラな明暗を整える補正
- イラストらしさを出す加筆、馴染ませ
単なる写真のコラージュを、1枚の完成イラストとして昇華させるには、実は様々な『絵を描く基本技術』が必要になってくるのです。
だからこそ、フォトバッシュを通して初心者が学べることは多い。
そうやって完成したイラストは、間違いなくアナタの技術・実力として胸を張って良いのです!
こんな方法もあるんだ~!という、一つの選択肢を教示できたならば幸いです。
〈関連記事 〉

『複数の写真を組み合わせるなんて難しいよ…』
という方は、まずは1枚の写真をイラスト風に加工することから始めてみるのもアリです。ご参考までに。
写真にキャラを描き加えたり、イラスト風の色調補正・加工を加えることで、1枚の写真を幻想的なイラストに変えていきます。
完成イラストをSNS等へアップ(『個人利用』の範疇を超えた使用)したい場合は、必ず自分で撮影した写真または著作権フリーの写真を使用してください。
著作権フリーと明言されてない画像の場合、制作者に著作権があります。(例:他人がSNSにアップしている写真なども該当。)
許可を得ずに素材として使って描いた場合、その絵をSNSへアップするのは控えた方がいいでしょう。
※元写真の一部のみを素材として使った場合でも、著作者の許可を得ない改変として、「翻案権」や「同一性保持権」の侵害に該当するからです。
著作権フリーで、個人利用・商用利用ともにOK、引用元の表記も不要なフリー写真素材サイトPixabayがオススメですよ!
最後まで完成させることで得られる学びが大きい
絵は描いた後の振り返りがとても重要です。
お手本を見て描いたなら、
- 自分の絵との違いは何か?
- 自分の絵には何が足りないか?
- その差を埋める為には何を習得すれば良いのか?
この分析⇒改善をひたすら繰り返すことが、絵の上達における近道。
中々思うように上手くならないと悩む人は、『完成させる前に描くのを辞めてしまう』、『中途半端な状態の絵ばかりを量産してしまう』という状態が原因である可能性があります。
更に、最速で・効率よく上達するという場合は、加えて「質にもこだわる」必要があります。
ここでいう「質」とは、神絵師クラスのとんでもない絵を描きなさい!という意味ではなく、今の自分の全力を出して描く、という意味です。
今の自分が持ってる全ての技術・知識をフル動員して描く。
この全力戦闘を行うことで、アナタを一歩先のステージに連れて行ってくれます。
実戦のガチ戦闘でレベルが一気に上がる漫画の主人公のようなイメージ。
なぜなら、全力であればあるほど、制作の過程で膨大な試行錯誤と挑戦を繰り返すからです。全力でガチ絵を描くからこそ、「この絵を描くためには、どんな技術を使えばいけるのか?」を真剣に模索します。
恐らく落書きよりも何時間も時間が掛かることでしょう。
初めての技術に挑戦する場合は尚更…。
それでもガチ絵を完成させるために、資料を繰り返し見たり、ツールの機能を検索してみたり、ああでもないと何度も何度も描き直す。
これが大事なんです!
その過程を経ることで、次に描く時に『あれ?なんかできることが増えてるぞ!』となる訳です。
数と継続が上達のすべて
声を大にして伝えたいのは、絵は才能ではないということ。
(例えばスポーツ選手や俳優とかだと、体格やルックスなど、生まれ持った才能的要素が大きく作用します。)
しかし絵に関しては再現性のある科学です。
正しく知識を学び、技法を身に着け、正しい方向性で数こなして、継続する事ができれば必ず上達します!
僕は美大卒でもなく、未経験から中途でイラストレーターに転身した身ですので、この点においては自身をもって伝えたいです。
ですのでまずは、以下のサイクルに入り『描くことに慣れる』ことを目指してみてください。
最初のミッション
- 簡単に描けるものから始める。
- 同時に、描くのが好きで楽しいものものを見つける。
- 描くのが楽しくなる
- 練習が苦ではなくなる
学校のテスト勉強を思い出して欲しいのですが、嫌々やる勉強とか暗記って、苦痛だし中々覚えられなかったと思います。
逆に自分が好きなアニメやゲームの技名や登場モンスターの名前なんかは、「覚えよう!」と強く意識せずとも自然と覚えていたはずです。
人間は興味関心がある好きな事はについては自ら学び、吸収していくからです。
絵にも当てはまります。
一度『描くのが楽しい!』状態になるとかなり強い。
- もっと描きたい。描けるようになりたい
- どうやったら描けるようになるんだろう?
- 〇〇も描けるようになりたい
- △△の描き方はどうだろうか?
というように、自然に技術と知識を追求していくようになります。
あくまで僕個人の意見ですが、『絵を毎日描くノルマを設定する』のではなく、『ノルマを課さなくても自然と描く状態を整える』事が優先と考えています。
例えば僕の場合は、”髪”でした。髪の毛束を描くのに夢中になって。
最初とかのっぺらぼうに髪だけ描いてたくらいです。
そして徐々に、
顔を描くようになる
↓
顔の完成度を左右するのは「目の描き方」と気付き目の練習を開始
↓
ここらで人体もしっかり描けるようになりたいな
…といった具合で拡がっていきました。
最初は下手でも落書きでも良いので、まずは絵を習慣化してみてください。
習慣化ができれば、次は描く時間を確保し、数を継続していくことです。
1日は24時間。
学校や仕事、食事、風呂、睡眠を除くと、1日に使える時間は大体5時間くらいでしょうか…?
この5時間という限られたリソースを、可能な限り絵に割いていく感じです。
スポーツや楽器の練習の場合、練習できる場所と時間が限られますが、絵の場合は、机さえあればどこでも・いつでも描けるのが強みです。
✅学校や会社の休み時間
✅電車の移動中
✅帰りのカフェでのくつろぎタイム
✅寝る前の隙間時間
僅かな時間を少しずつ抽出する。
例えば1日1時間練習に使ったとして、1週間7時間、1ヶ月1日と6時間もの膨大な時間になるから侮れないです(汗
理由は、即!描き始めることができるから。
これは僕の失敗談で、非常に恥ずかしい話なのですが…、
最初パソコンのお絵かきソフトで練習しようとしたのは完全に悪手でした。
単に僕がズボラなだけかもしれませんが、仕事終わりの疲れた状態で、わざわざパソコンデスクに座り、パソコンの起動を待って、ようやく描き始められる。
僕は無理でした。このわずかな工程が非常に面倒だった。
面倒だから「明日から頑張ろう」状態になってしまった。
描く!と思った次の瞬間にはペンを握って筆を走らせている。面倒くさいと思う間もなく描き始められる状態が理想です。
最後に繰り返しになりますが、絵は正しい方向で継続と数を重ねることができれば必ず上達します。
自転車に近い感覚で、最初はフラフラで走れない。走っては直ぐにこけてしまう。
でもまずは補助輪を付けて、誰かに荷台を支えて貰って、やがて独りでに走り出す。
漕ぎ始めの加速の瞬間は一番シンドイですが、一度走り始めれば楽に進むことができる点も、非常に似ていると感じます。
描き方の固定観念を壊せば自然と上手くなる
絵は技術そのものというより、考え方一つで大きく上達するものです。
一言でまとめるならば、絵の描き方は自由だし正解もないということ。
- 『絵がうまい』に対する認識を変えるのが近道
現代において、絵がうまい=『絵を作り上げる総合力を高くする』こと
『描き方の選択肢を多く持つ』こと。 - 資料を見ることで『形が分からない』が激減する
資料を見る=ズルい行為ではない。
資料を見ることで、正しい・説得力のある絵を描くことができる。 - 上達の秘訣は「模写」。上質なオリジナルは模倣から生まれる
オリジナル=既存の要素をどう組み合わせ・どうアレンジするか?
模写によって、先人が築いた「絵を作る技術・思考」を吸収できる。
基礎基盤なくして上質なオリジナリティは生まれない。 - 下書きを描くことで劇的に描きやすくなる
プロでも、最初から完成形の絵を描いてるわけではない。
下書きや補助線を用いて、描きやすくする。 - ツールを活用して「効率的」的にクオリティを上げる
ツールはズルではない。効率とクオリティを上げてくれる便利な画材。
大事なのは道具をどう活かすか。そして道具を使って何を作るかは立派な技術 - 写真を使うのはズルではない
フォトバッシュという、コンセプトアートの領域で使われる立派な技法。
0から描き起こさなくても絵になる手段の1つで、初期からある程度のクオリティの絵が描きやすい技法なので、特に初心者の方にもオススメ。 - 最後まで完成させることで絵は上達する
今の自分の全ての技術・知識をフル動員するガチ絵を描く。
その過程で、「この絵を描くためには、どんな技術を使えばいけるのか?」を真剣に模索・習得しようとする。 - 数と継続が上達のステップ
絵は才能ではなく、正しい勉強を継続・数をこなすことで確実に上達する。
まずは「描く習慣」を付ける。そして「描く時間」を確保していく。
絵は描けるようになるまではシンドイことも多いかと思います。
「本当に上手くなれるのか?」
「自分には無理なんじゃないか?」
と筆を置きたくなることも多いでしょう。
そんな時、
「こんな方法もあるのか!」
「こんな考え方・捉え方もあるのか!」と。
『絵って、かくも自由で楽しいものだったのか!』と。
この記事が、もう一度筆を拾い次の1枚に挑戦する一助になれれば幸いです。
また、Twitterでもイラストの解説・メイキングを呟いたり、イラストやポートフォリオに関する質問・相談などを受け付けてます!もしよければ覗いてやってください~