今回は、
という疑問・悩みを解決する記事を用意しました。
既にプロ顔負けの圧倒的な技術や世界観を持ている場合は別ですが、未経験で0からイラストレーターを目指す場合は、戦略的な手順があります。
本記事の内容
- ポートフォリオの形式
- 採用されるポートフォリオの特徴
- 作り方のステップ
実際に僕は、この手順を実践したことで、趣味で描く程度の状態から、未経験・中途で計5社からイラストレーター職の内定を頂けました。
今回の記事では、僕が当時使っていたポートフォリオも実例に出しながら解説します。
◆◆◆◆◆
今回の記事はポートフォリオの作り方の手順を解説しています。
また、↓の記事では具体的にどんなイラストを載せればいいのか?についてより詳細に解説してます!

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ポートフォリオとは何か?
ポートフォリオ=「商業イラストが描けることを相手に示すためのサンプル集」
イラストレーターに限らず、クリエイター職と呼ばれる仕事をする際、必須となるのがポートフォリオ。
『採用されるポートフォリオ』を制作するために、最初に認識しなければいけないことは、
目的です。

結論から言うと、実績のない未経験の場合、
「お!こいつできそうだな!」と、”未来の可能性を示す”ことが最優先事項。
担当者はポートフォリオを見て、
- どんな技術を持っているのか?
- どんな種類のイラストを描けるのか?
- 得意なテイストは何か?
- 案件に合ったイラストを制作できるか?
など、仕事を任せられるか判断します。
つまり、多くのテイストやジャンルのイラストを揃えて、選択肢の幅を示すのが『未経験でも勝つ戦略』となります。
ポートフォリオの提出形式は2つ
ポートフォリオと言っても業種によって様々な形式があります。
イラストレーターの場合、代表的な2種類を押さえておけばOKです。
それぞれのポイントは以下の通りです。↓
①印刷ポートフォリオ

できればページの調整ができるファイルが推奨。
理由は、
- ページ数や並び替えの調整がしやすい
- 企業に合わせたカスタマイズがしやすい
から。
最初から理想のポートフォリオを作ろうとするとシンドイです。
活動を続けるうちに、
- 新たに載せたい作品が増えた
- こんなテイストもアピールしたい
- 内容をブラシュアップしたい
となった際に、自由に内容を変えることで、理想のポートフォリオに近づけていくのが楽になります。
その際、ページ調整ができると非常に便利。
そして最大の理由は、提出先のテイストに合わせて臨機応変に構成をアレンジすることができる点。
- A社はキャラクターを売るにしているから、キャラのページを前に持ってこよう
- B社は色々な物を幅広く描ける人材を募集しているから、モンスターや武器のページも増やそう
と、提出先にベストマッチしたポートフォリオを用意することで、より採用に直結するポートフォリオを作れます!
②データポートフォリオ

最近はデータやWebサイトのポートフォリオも主流となってきています。
メリットは、『コストが掛からないこと』、『作品の並び替え・差し替えが簡単なこと』、そして『PCから誰でも手軽に見れること』です。
データポートフォリオの注意点は、
- イラスト画像をバラバラに送らない。
- データはPDF形式にする。
の2点。
PDFは、複数の画像を一つのファイルにまとめられるので見やすく、見たいページに1クリックで飛べます。
そしてPCのスペックや機種に左右されず閲覧することができます。
逆に、よくある失敗談で、
PhotoshopのPSD形式や、CLIPSTUDIOのCLIP形式のまま送ってしまう、というのがあります。
データサイズが重くなる上、Photoshop・CLIPSTUDIOがインストールされていないPCでは閲覧できないので、絶対にNG。
★PDF形式のポートフォリオの作り方を記事にまとめました。
関連記事 ⇒ PowerPointとKeyNoteでPDF形式のポートフォリオを作ろう
採用されるポートフォリオの特徴は5つ!
ポートフォリオで絶対に押さえておくべきポイントは、『たちつてと』の法則を意識して作ることです。
『たちつてと』の法則
- た 短時間で読める
(⇒ ページ数、作品数) - ち 違いが明確に伝わる
(⇒ 企業への志望度) - つ 作りたいものが見える
(⇒ 得意分野や熱意、将来性) - て 手に取りやすい
- と 整っている
(⇒ 形式やレイアウト)
僕も転職活動をしていた当時、担当の転職エージェントの方に、『たちつてと』を意識したポートフォリオ作り方についてアドバイスを受けました。
威力抜群でした!
『たちつてとの法則』を意識して作るようになってから、目に見えて書類選考に通り始めました。
それでは、それぞれ要点を解説していきます。
関連記事 ⇒ 未経験でイラストレーターになりたい人こそエージェントを活用した方が良い4つの理由
関連記事 ⇒ 【やってはいけない僕の失敗談】不採用になるポートフォリオを作った話
『た』:短時間で読める
まず前提として、ポートフォリオを見られる時間は思った以上に短いということです。
だからこそ、短時間で自分を120%伝えられるポートフォリオを作る必要があります。
ポートフォリオの目安
⇒ 20~25ページ前後が最適
僕が実際に10社以上の面接で試した結果、上記のページ数が最も効果的でした。
ゲーム会社やデザイン会社には多くのポートフォリオが送られてきます。
(会社の規模にもよりますが、僕がいた会社でも毎年20人前後入社していました。)
ということは逆算して・・・応募段階、特にポートフォリオ選考の段階だと、その数倍の母数がいると考えられます。
◆◆例◆◆
1冊あたりの閲覧時間を3分、100人の応募があったと仮定します。
・3分 × 100冊 = 300分(約5時間)
⇒担当者2人でも、150分(2時間半)
かなり短い時間で想定しましたが、それでも膨大な時間が掛かることが伺えます。
そして当然ですが、担当者には通常の制作業務があります。
(特に採用活動にも関わるベテランさんは、管理職として、社内のディレクション業務や教育・指導・・・とかなり多忙。)
つまり、いくら渾身の100ページポートフォリオを送ったとしても、全部見られる時間が無ければ・・・・・・、ということです。
短時間で内容を120%伝えられる20ページ前後にまとめるのがベストです。
『ち』:違いが明確に伝わる
応募する企業を意識し、最適なポートフォリオを作ることで採用率を上げられます。
- 応募企業のテイストに合わせたイラストを用意する。
- イラストの順番、アピールポイントを適宜変える。
もし自分が担当者として、以下のポートフォリオを見たらどんな印象を持つでしょうか?
- かわいい女の子キャラが売りの会社なのに、男性キャラばかり
- 厚塗りが売りのファンタジーゲームなのに、デフォルメされたポップなイラストばかり
仮に作品のクオリティが高かったとしても、
『うちの作ってる作品知らないのかな?』
『描いてもらえるイラストが無いな・・・』
と思われてしまうでしょう。
一方、こんなポートフォリオだったらどうでしょうか??
- 会社のテイストに合ったイラストがある。
- キャラだけではなく、モンスター・背景・アイテム・・・と、多種多様なイラストがある。
担当者の目には『即戦力!』と映り、間違いなく他のポートフォリオより目立つはずです。
採用担当者も人間。
ポートフォリオは「技術」だけでなく、「熱意」も伝えることで相乗効果を得られます。
『つ』:作りたいものが分かる
- 得意なもの、好きなものを伝える
- 仕事で作りたいものを伝える
ポートフォリオは応募者の適材適所を見極めるアイテム。
得意なもの・好きなものが明確だと、担当者はどんな仕事を任せるかをイメージしやすくなります。
更に言うと、『ち』:違いが明確に伝わる と組み合わせるとGoodです。
つまり、『自分の得意 × 会社の特徴』が一致したポートフォリオは最強!
◆◆例◆◆
【2Dキャラクターデザイナー志望】で【厚塗りテイストが得意】な場合は、
〈イラストのテイスト〉
・キャライラストを多目に入れる。
・塗りは厚塗りを中心に入れ、得意をアピール。
〈基礎画力のアピール〉
・表情やポーズのスケッチを入れる。
・老若男女を幅広く載せる。
といった構成にする感じ。
『多くのゲーム会社からイラスト制作を受託する総合デザイン会社』に内定した際は、下記のようなポートフォリオを用意してました。
⇒キャラクターやモンスターを一番描きたかったので、キャラクター&モンスターを中心とした構成にしました。
会社の特徴として、厚塗り系以外も扱っていました。
⇒よって+α!少しポップなテイストも入れました。
逆にダメなのは、” 何が作りたいのか分からない ”ポートフォリオ。
- 有ったイラストをとりあえず雑多に載せただけ
- 学校の課題作品ばかり羅列してある
- そもそも完成作品が無い
上記のポートフォリオは要注意です。
なぜなら他の作品に埋もれてしまうからです。
『て』:手に取りやすい
ポートフォリオは自分の技術やクオリティを追及すると同時に、「見る相手への配慮」があってこそ。
- 印刷・・・・・見やすく・保管しやすいサイズか?(A4)
- データ・・・・誰のPCでも見れる形式か?(PDF)
プロのイラストレーターになると、『絵を見た相手がどう思うか』を意識する事が常に求められます。
いくら自分が「カッコいい!」と思っていても、相手に響かなければ、ただの自己満足になってしまいます。
ポートフォリオも同じで、見る相手への配慮が大切です。
例えば、
- 印象を残そうと規格外のサイズを郵送する。
- データサイズが重い。
- 専用ソフトがないと見れない形式。
だとクオリティ以前に印象も悪くなってしまい、非常に勿体ないです。
『と』:整っている
レイアウトの一工夫で、ポートフォリオの見栄えは1ランク上がります。
とはいえ、凝った特殊なレイアウトやデザインにしなければいけない・・・という訳ではありません。
- イラストの大きさ、1ページあたりの点数
⇒ 1~2点くらいが適切。アイテムや小物はその限りではない。 - 文字数、文字サイズ
⇒ページ全体を見たとき、パッと理解できる文字数やサイズ。 - 太文字を使う等、読みやすい工夫
⇒タイトルなどは太字にしてメリハリを。 - 文字のフォント
⇒基本的には「明朝体」または「ゴシック体」でOK。
が最低限できていればOK。
イラストのセールスポイントをアピールするあまり、説明文が長すぎても、肝心のイラストが見にくくなります。
さらに文章が長いと、そもそも選考時間内に読めません。
フォントも読みやすいフォントというのが大前提です。
例えば、僕の一例です↓
⇒あくまでイラストがメインなので、無駄な文字は極力削りました。
制作時間や使用ツールなどの必要事項も、そのまま書くとゴチャゴチャします。
⇒よって、ロゴを使って視覚的に伝わるデザインにしてみました。
◆◆◆◆◆
このように、『たちつてと』の法則を意識することで、まとまったポートフォリオを作ることができます。
ポートフォリオの作り方。ステップはたったの4つ!
では実際にポートフォリオを制作する手順、制作の注意点を解説します。
4つのステップを踏むことで、誰でも簡単にポートフォリオを完成させることができます。

①構成を考える

まず全体の構成を考えます。
なぜなら、構成を考えずに作り始めると、『何を載せたら良いんだろう・・・?』と迷ってしまい、結果的に何をアピールしたいのか分からないポートフォリオになってしまうからです。
構成とは、ポートフォリオの設計図。
設計図をしっかりと作ることで、一貫した迷いのないポートフォリオを作ることができます。
★例えば、【ファンタジー系のテイストを得意とするゲーム会社】に応募する場合を想定しました。
下図のような手順で構成を考えていきます。
このように、予め各テイストの大まかな配分を決めておいて、状況に応じて後からページ数を調整すると効率的です。
②作品を制作する
①で決めた作った設計図を基に制作していきます。
制作するイラストですが、可能であればキャラ以外の様々なモチーフも描くと良いです。
- 武器
- アイテム
- 背景
などなど。
なぜなら、キャラクターやモンスターのイラストは、当然、他の応募者も描いてくるからです。(・・・そりゃもう皆キャラクターデザイナーになりたいので。。)
基本的に制作現場では、多くの案件が同時進行しています。
そのため、多くの種類のイラストを描き分けられる人材が重宝されます。
実際の現場で感じた所感ですが、メインとなるキャラクターやモンスター以上に、武器・アイテムのイラストは圧倒的に枚数が必要です。
つまりイラストの需要がある、ということ。
描きたいものだけではなく、+α素材イラストも用意しておくことで、起用してもらうチャンスをUPさせましょう。
★『具体的にどんなイラストを載せたら良いのか詳しく知りたい!』という方は、

にて実例付きで、更に詳しく解説していますので、よければ覗いてみてください~
③作品を選定する

イラストが完成したら、まずはメインでアピールするイラストを決めます。
- 提出先のテイストや求めるスキル
- 自分の得意なテイストとスキル
を比較し、一番の自信作かつ提出先企業に最もマッチしてる目玉作品を選びましょう。

メインが決まれば、他のイラストも並べていきます。
メインに関連するジャンルのイラストを持ってくると◎です!
④レイアウトを整える

イラストが出揃ったら、最後にレイアウトのデザインをしていきます。
『たちつてとの法則』の『と:整っている』の項目ですね!
特に特殊なデザインセンスや技術が必要・・・、という訳ではないのでご安心を!
ちょっとしたポイントをおさえるだけで、劇的に見やすいポートフォリオになりますよ。
ポイントは、
- 章分けして表紙を付ける
- 記載事項を載せて『現場力』をアピール
- 見開き構図
です。
(ポイント:1) 章分けして表紙を付けよう
僕は下図のように、【商業実績】【個人制作】【デッサン・雑記】という章に分け、表紙を作りました。
章分けした表紙があることで、
- 何の目的のイラストか?
- 個人制作or仕事で制作したものか?
- オプションとして見て欲しい技術のページ
というのが整然と伝わります。
リズムよく読んでもらうことで、担当者をポートフォリオに引き込みましょう!
(ポイント:2) 記載事項で『現場力』をアピール
イラストをただバーン!と載せるだけではちょっぴり勿体ないです;
+αの情報をイラストに添えてあげることで、より訴求力の高いポートフォリオになります。
最低限記載したい事項は、以下の通り。
- タイトルや制作した工程
イラストのどの工程を手掛けたか。 - 制作時間
実務では常にスピード勝負。制作速度を判断する材料に! - 使用ツール
ツールのスキルを示します。
現場ではPhotoshop・クリスタが多いので、この2つを扱えるとベスト!
ポートフォリオはイラストの上手さを見るとともに、応募者の業務遂行能力をチェックする目的も有ります。
- 迅速な制作が可能か?
- 現場のツールを問題なく操作できるか
も選考の判断材料となります。
例えばこんな感じ。↓
(ポイント:3) 見開き構図がまとめやすい
最後に鉄板レイアウトですが、見開きで1セットの構成にするとまとめやすいです。

メインとなるイラストは1ページ使い、大きく見せます。
隣のページには、
- 進化差分
- 色差分
- ラフスケッチや案出し
- 作業工程
と、メインのイラストの追加情報を載せるイメージです。
メインは左のページに載せよう!視線誘導を活かした配置
人の目は左上から視線を送ることが多いです。
逆に右下に行くほど、目線は届きにくくなります。
ファミレスのメニュー表がいい例ですね。
一番の自信作最も目を引く左のページに配置しましょう!
※実は画集やイラストの技法書もこの手法です。
左開きのページ構成で作られていることが多いです。
上記の見開き構図を活用することで、ページがまとまり見やすくなります。
少しの手間を加えることで、垢抜けたポートフォリオに仕上がります。
上記レイアウト例はパクって頂いて良いので、ぜひ自分のイラストが最も映える形式にどんどんアレンジしてみてください!
『採用されるポートフォリオの特徴5つ』を意識して制作しよう
お仕事を取れるか否かはポートフォリオのクオリティが左右します。
紹介した『たちつてとの法則』を意識すること、そして『4つのステップ』を実践することで、未経験でも採用されるポートフォリオを制作することができます!
最後にもう一度確認です。
『たちつてと』の法則
- た 短時間で読める
(⇒ ページ数、作品数) - ち 違いが明確に伝わる
(⇒ 企業への志望度) - つ 作りたいものが見える
(⇒ 得意分野や熱意、将来性) - て 手に取りやすい
- と 整っている
(⇒ 形式やレイアウト)
『ポートフォリオ制作4つのステップ

上記のポイントを活用して、『効率的に』ポートフォリオを制作しましょう!
「ポートフォリオの作り方が分からない・・・」悩んでいる方にとって、少しでも参考になれれば幸いです。
僕が5社から内定を頂いたときに、具体的にどんなジャンルを載せたかまとめてみました。
あわせてご参考になりますと幸いです!↓

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