
今回の記事は、
という疑問・悩みを持つ方に向けて書いています。
僕自身、イラストレーターを目指した当時は、
- 美術系/デザイン系の学校を卒業した新卒じゃないと無理なの?
- 結局イラストレーターになるには何をすればいいの?
- SNSで神絵師にならないとイラストレーターにはなれないの?
という疑問にぶつかりました。
しかし、地道ですが『効率的・戦略的』にステップを踏むことで、未経験でもイラストレーターになることは可能です。
SNSでバズったり、Twitterで1万人以上フォロワーを集める必要もありません。
というか当時僕はフォロワー200人くらいの趣味アカウントでした(汗
これから紹介するステップを地道に行い、趣味で落書きを描く程度の状態から、未経験・中途で本業イラストレーターになることができました。
ありがたいことに毎月なんとか絵で生活できてます。
今回の記事では、普通の事務職だった僕が、未経験・中途でイラストレーターになるまでに実践したステップを6つに分けて、実体験をベースに解説します。
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なぜ未経験でイラストレーターを目指そうとしたのか?
元々僕は文系の一般大学を卒業後、素材系メーカーの総合職に就職しました。
当時の労働環境はいわゆる黒色。
月給は20万で、そこから諸々引かれて手取りは18万程度。
当然残業代は付かず。。
(出社時間と退社時間を自己申告で入力する方式(笑)だったのですが、素直に真実の時間出提出すると定時に直されましたね……勤怠管理とは?)
とにかく人手不足で、複数の部署を兼務するのは当たり前。
人が辞めていくので、月を追うごとに担当業務は増える一方。
繁忙期は6時の始発に乗り、深夜12時前の終電で帰路につく。
平常時でも出社は1時間前厳守、週に一度のノー残業デイは形だけで、22時退社が常でした。
(途中から正確には数えられなくなりましたが、毎月100時間以上残業してたんじゃないでしょうか。。。)
ぶっちゃけウチよりキツイ会社なんて腐るほどあるだろうし、まだマシな方だろ、と当時は考えてました。
常に体調は悪かったですが、ある朝通勤途中の電車で激しい動悸に襲われ、駅で嘔吐。
診断結果はまぁ察しというやつです。
(決壊はある日突然やって来る。豆知識。)
結局休職を余儀なくされ、3年目に退職。
この一件がきっかけで、
- 今の仕事向いてなかったんだなぁ…。
- じゃぁ結局何が向いてるんだろう?
と。
そこで頭に浮かんだのが、当時まだ趣味程度だったイラストでした。
未経験・中途でイラストレーター職に就くためにやった⑥つのステップ
僕が異業種から未経験でイラストレーター職になるためにやったことを紹介します。
僕がやった6つのステップ
- 「描ける環境」を整える
- 練習メニューを作り毎日描く
- 添削でアマチュアを脱却
- 実戦を想定した作品を作る
- 商業実績を作る
- クリエイター向け転職エージェントに登録する
ステップ①ー「描ける環境」を整える
僕の場合、身体壊したことがきっかけで退職してたので、このタイミングで夕方5時に終わるホワイト企業に転職しました。
(同じ事務職という職種でもこうも変わるのか…、と。)
殊に『イラストを仕事にする』ことを念頭に置くなら、 残業や休日出勤で週1日くらいしか描く時間がない……では何年もかかります。
絵の練習は毎日した方が圧倒的に成果出る理由については後述。
ですので、『絵を描く時間が全く取れない職場』なら転職できればベスト。
体壊してからじゃ遅いし、下手したら描くどころじゃなくなります。
転職に関しては今回の趣旨から外れるので詳細は割愛しますが、転職エージェントとか使った方が良いかもです。確かハ〇ラクティブで転職しました。
(当時ハ●ーワークとかも使いましたが、応募先の会社……面接時点ですでに滲み出るブラック感、って所が割と多かったです。)
ステップ②ー 練習メニューを作り毎日描く
次に、とにかく毎日『何かしら絵に関すること』をするように心掛けました。
なんで毎日?週末まとめてじゃダメなの?
週末にまとめて、でも悪くないのですが、個人的には毎日少しでも絵に触れる方が圧倒的に良い。
仮に7時間を絵に費やすとして、
・週末に『まとめて7時間』描く
・『毎日1時間ずつ』描く
だったら、『毎日1時間』の方が圧倒的に画力は上がリました。
これは絵に限らずどんな分野でも言えますが、とにかくPDCA回した方が良いです。
- お手本を見ながら描く
- お手本との違いを見比べる
- 描けなかった点を洗い出す
(顔?手足?胴体の流れ?) - 描けなかった点を1つずつ集中練習
など、とにかく試行回数を増やして、その度に細かく分析して改善。
この方が圧倒的に上達率は良いです。
描いてる最中に、描き方のコツを発見したり、感覚が掴めたりすることって有ると思います。
『鉄は熱いうちに打て』
と言う言葉があるように、描いているときの感覚、ニュアンス、閃きなどを忘れないうちにどんどん試行錯誤を繰り返していくのも非常に重要。
(多分1週間も空いたら折角掴みかけた感覚やコツを忘れる。)
毎日続けるって大変かも・・・
コツは、
- 無理のない練習時間を設定する
- 練習する題材を絞る
です。
はじめに「○分、○時間だったら毎日継続できるな」、という時間を設定すること。
そして大げさに「題材」と言いましたが、要は、1日であれもこれも練習しようとしないということです。
月曜日 ⇒ 腕と脚の練習
火曜日 ⇒ 目と顔の練習
・・・
というように描くものを絞ってあげましょう。
慣れてきたら、
腕と脚の練習・・・10分
ポーズの練習・・・15分
顔の練習・・・・・15分
というように、徐々に1日の練習メニューを増やしてあげるイメージです。
また個人的には、「この曜日は資料収集だけをやる!」という筆休み日を設けてあげると、メリハリが付いて捗りました!
ここでの第一目標は、『無理なく毎日継続できる時間と練習内容を決める』ことです。
『毎日は分かった。どんな練習がいいの?』
と思った方は、こんな感じの記事も後日追記します。
⇒ 未経験でキャラクターデザイナー職になるためにやった『効率的な』キャラ練習方法
※実際に僕が当時最も効果を実感した練習メニューです。
⇒ 年間50冊以上技法書を買ったくろつき。がオススメするジャンル別技法書
ステップ③ー添削でアマチュアを脱却
ある程度描くことに慣れてきた段階で、思い切って他の人に絵を見てもらって添削をもらうようにしました。
なぜなら、ずっと独りで描いていると、
・お手本通りに描けているのか?
・デッサンをはじめおかしな箇所は無いか?
と、どんどん迷宮に陥ります。
またそれだけではなく、
・そもそも間違いに気付かない
・間違った描き方を覚えたり、悪い癖が付いてしまう
という罠が一番まずいです。
例えるなら、河川敷で独りバットを振るう感覚。正しいフォームなのか?そもそも正しいフォームとは?が分からないです。
とはいえ添削といっても、多くの選択肢が有ります。
- オンラインの添削サービス
- 通信教育などのオンラインスクール
- 専門学校
- 画塾や美術専門教室
などなど。
僕の場合は半年ほどオンラインの添削サービス(TwitterとかYouTubeでよく募集してるやつ)を活用した後、週末のみの夜間専門学校に通いました。
専門学校というとネットでは諸説有るのはご存じの通りですが、僕個人としては、
- 直接横で手取り足取り教えてもらいたい
(描き方やツールの使い方など) - 描いてる瞬間を直に添削してもらいたい
- 就職や仕事の相談・紹介をしてもらいたい
という方は、可能ならこの辺りで一度しっかりと絵の教育を受けるの推奨です。
まぁ『対面で添削してもらえる。』のが一番重要ですね。
多分絵を練習したことある人なら経験あるかもですが、オンラインや画面共有じゃどうしても限界があります…。
- ペン先や手の動かし方は?
- ペンの力加減は?
- ブラシのサイズや濃度の切り替えのタイミングは?
とかは絶対対面の方が分かりやすい。
今回の記事では、『最短で・効率的にイラストレーターになる』ことに主眼を置いています。
添削サービスを利用することで、独学では習得に何年も掛かかったかもしれない知識や技術を短期間で習得できる可能性が有るので、お財布に無理のない範囲で積極的に活用した方が、長い目で見たときのコスパは良いです。
ステップ④ー実戦を想定した作品を作る
ポートフォリオって何?
- 制作物
- 技術
- 実績(かかわった案件など)
などをまとめた資料です。
イラストレーター職に限らずクリエイティブ職の場合、ポートフォリオが必須です。
単に今まで描いた作品や好きな絵を載せれば良いのではなく、
- 現場で使える技術
- 描ける幅
(絵柄やモチーフの数、技術の伸びしろ)
を示せる作品を載せる必要が有ります。
「未経験でもイラストの仕事を取れるポートフォリオを作りたい!」という方に向けて、ポートフォリオのコツや作り方の手順は↓の記事で紹介してます。


(※僕が当時使っていたポートフォリオも載せています)
上記記事から簡単に抜粋すると、『未経験で最短で・効率的にプロのイラストレーターになる』という観点でいくと、描ける幅をアピールするのが最重要課題。
例としてゲームだと、
- キャラクター
- モンスター
- 背景
- 武器やアイテム
- アイコンなどの装飾
など、多くのイラストで成り立っています。
(キャラクターだけに焦点を当ててみても、『萌え系』『乙女系』『ファンタジー系』『戦国系』…etc と、実に多くのテイストが存在。)
つまり、色々なイラストを描けるオールラウンダーが圧倒的に強いでということです。
基本的に現場では、様々なテイスト・ジャンルのイラストを描ける人が重宝される傾向にあります。
◆◆◆◆◆
正直キャラクターは一番人気でみんな描きたい。
ゆえに競争率は異様に高いですし、Twitterでフォロワー何万人もいたり、化け物みたいな画力を備えたライバル絵師たちがひしめいています。
ですので、仕事の実績がまだない未経験の時や、突き抜けた技術がない場合は特に、『キャラを描ける人』…ではなく、『〇〇も描けるしキャラも描ける人』になることが近道。
描ける幅が多い方が圧倒的に仕事は取りやすいです。
実際僕がはじめての仕事を獲得したときも、
まずはそっちを描いてもらって、キャラも徐々にやっていきましょう!
というように、例えばキャラクターの技術では基準を満たしていなくても、他の手札が有ると起用してもらえるチャンスはぐっと上がります。
↓ちなみに当時はじめて仕事を貰った時のポートフォリオ。(今見ると未熟過ぎる…南無南無)

ステップ⑤ー商業実績を作る
最初の実績をどう作るか?
一番簡単なのはクラウドソーシングやイラスト制作会社に登録して仕事を獲得すること。
個人的には企業からの案件が多いイラスト制作会社の方を推奨。
未経験でイラストレーター職を目指す場合は、ぜひ挑戦してほしいです。
- 実践で生きた学びを得ながら収入を得られる
- 相手の要望を汲み取って形にする経験ができる
- イラストレーターとして仕事を受けた経験・実績になる
など、多くのメリットが有ります。
特に、イラストレーターとして仕事を受けた経験・実績になるという点はかなり強い武器になります。
たとえ小さな案件でも、1つ実績が有ると、転職時かなり強い!(経験談。)
◆◆◆◆◆
僕が初めて受注したのはファンタジー系ゲームのカードイラスト(進化差分あり)の案件でした。
その案件を通して、
①ラフ ⇒ ②線画 ⇒ ③彩色 ⇒ ④背景 ⇒ ⑤エフェクト仕上げ
の一連の工程を経験することができました。
- イラストが完成するまでの工程とは?
- 指示書の読み取り方は?
- 修正やチェックはどのタイミングで行われるのか?
- 各工程の納期感は?
- どんな所をチェックされるのか?
工程ごとにいくつか例を出すと、
- ラフはどこまでの精度が求められるのか?
- ゲームイラスト映えする塗り方は?
- 色調補正の掛け方や補正時に使う色の選び方
- 効果的なレイヤー効果の選び方
などなど。
案件を通して、現場の生きた学び・経験ができます。
実際、1つの仕事を経験した後の画力の伸びは肌で実感できるほどでした。
商業実績としてアピールできる上、実戦の仕事で必要なレベルが把握できるので、ポートフォリオ用の個人制作の精度も上がります!
※中には直接実績として名前を公表できない案件もありますが、 『〇〇テイストのイラストを仕事で描いたことあります』とは言えますし、何より1案件経験した後のスキル・経験値の向上は半端ないです。
ステップ⑥ークリエイター向け転職エージェントに登録する
まずはじめに、ここで就職を推奨しているのは、『イラスト1本で生活する』という観点で見た場合、いきなりフリーランスは正直リスキーかも…という懸念からです。
イラストで1円でも稼ぐ、一つの案件を受注する……という意味では単発の受託仕事でも勿論可能です。
今回の記事で重視するのは、イラストで毎月生活できる額を”この先長く稼ぎ続ける”ことについて。
この先長く絵を本業とするには一度就職して、技術的にも人脈的にも盤石な基盤を築いておいた方がいい…、と筆者個人的には考えるからです。
(いきなり未経験からフリーランスとはすなわち……、既にフォロワー何万もいるような神絵師や、豊富な実績をもつ歴戦のプロたちを相手に、実績も技術も劣る自分が正面から戦っていくことを意味します。)
◆◆◆◆◆
さて、異業界から初めてイラストの業界に入る場合、どんな職種や求人が有るのか、僕も手探りの状態でした。
その際仕事探しのナビゲーターとして、業界の専門家の知見からアドバイスをしてくれるのが転職エージェントの存在です。
具体的には、
- ポートフォリオの分析・添削
- 適性や将来像に合った職種・働き方のアドバイス
- 各企業の特色や求めているテイストの案内
- 転職のスケジュール調整や予約などの事務手続きの代行
などなど、これらのサービスが全て無料で利用できます。
特に各企業ごとの特色を知れるのはかなり大きいです。
例えば、
『A社は新規案件で●●テイストのイラストが描けるイラストレーターを探しています』
など、どんなテイストや技術を持つイラストレーターを募集しているのかの情報。
これは求人票の募集職種を見ただけでは分かりません。
その情報に合わせてポートフォリオのカスタマイズをしていきます。
最初に重要なことを言っておくと、一般的な就活とは違い、クリエイター系の転職において『数打ちゃ当たる』はほぼ通用しないと言っても過言ではないです…。
つまり、
- 自分の技術、得意とするテイスト
- 各企業の特色
を綿密に分析して、的確な対策をとる必要が有る。
そのため、各企業の詳しいデータを持つエージェントからアドバイスを貰いつつ、ポートフォリオをカスタマイズしていくことで、成功率を高められる訳です。
あと一般には出ていない『非公開求人』も斡旋してくれる場合も有るため、自分のテイストに合致するまだ見ぬ会社・案件に出合えるチャンスも広がります!
◆◆◆◆◆
おすすめのクリエイター向けエージェントについては後日別記事にてまとめます。
(ぶっちゃけ僕が知る範囲では心から登録をオススメするのは2社くらい。)
Googleで「イラスト エージェント おすすめ」とかで検索すると、たくさんのサイトがヒットしますが、正直『お前絶対イラストレーターじゃない業者だろ(笑)』って記事が多い多い…
というのもそれらのサイトで絶対おすすめ!って紹介されてるエージェントは大体使いましたが、実際に使ってみると結果全然でした……ってところいっぱいある;
(同じポートフォリオ出してるにもかかわらず、ですw)
最後に ~ 未経験でイラストレーターになるには、作品が肝!
これらは僕が異業種から、未経験でイラストレーターになるまでに実際にやったステップです。
僕がやった6つのステップ
- 「描ける環境」を整える
- 練習メニューを作り毎日描く
- 添削でアマチュアを脱却
- 実戦を想定した作品を作る
- 商業実績を作る
- クリエイター向け転職エージェントに登録する
当時僕も事務職の傍ら、未経験でイラストレーターを目指しました。
未経験で、さらに仕事がある中でイラストレーターを目指す場合、『戦略的』かつ『効率的』にステップを踏むことが重要。
僕の場合、新卒の例のブラックやしろを辞めて、実際にイラストレーター職に就くまでに掛かった期間は約1年半です。
(本格的に作品を作り始め転職活動を開始した時期から数えると約半年です。)
芸大や全日制の専門学校に行ったりすると2~4年(芸大の場合入るための準備期間も合わせると更に+1~2年)と考えると、
比較的『効率的に』本業イラストレーターになれた方ではないかと思います。
当時僕が実際に使っていたポートフォリオを実例に、ポートフォリオの作り方などもまとめてみました。

兎にも角にも、『ポートフォリオ』で何を示せるかが最も重要です。
などと検索すると数多くヒットしますが、大半は業界経験も実務経験も豊富なトップ層のポートフォリオサイトです。
ぶっちゃけ転職準備していた当時、
と思った苦い経験が有ります。
ですので、僕がはじめて絵の仕事を企業から貰った時のポートフォリオもここで晒しておきます。

未経験でゲーム系のイラストの仕事をする一つの目安としてこちらも参考程度にして頂ければ幸いです。
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