という事で今回は、特殊ブラシを活用して簡単に地面を描く方法をまとめました。
こんな方におすすめ
- 地面が難しいと悩んでいる方
- 手軽に背景に挑戦してみたい方
本記事の内容
- 特殊ブラシを使って地面を手描きする方法
- 地面を描くときに使う効果レイヤー
はじめに背景を描く上で重要なことがああって、それは…、
質感を再現できるブラシを使って描く!
ことです。
質感とは、たとえば、
・地面であれば ☞ ざらっとした質感や凸凹感、
・海であれば ☞ 波や水面の波紋、
・森であれば ☞ 密集した葉っぱ
……などなど。
これらを普通のブラシで描くのは限界があります。
そこで背景の質感を設定した特殊ブラシを使うと、緻密で描き込みの多い背景を描くことができるわけです。
また他にも、写真素材を使うのもコツ。
これはフォトバッシュという、主にゲーム・映画業界のコンセプトアート領域で使われている技法。(一度は見たことあるかもですが、めちゃくちゃリアルで緻密なイメージボードとか)
写真素材を下地にして描くことで、0から手描きするより、手軽に・短時間で完成度の高いイラストを仕上げられます。
写真の活用方法や効果レイヤーの基本についてはこちらの記事もどうぞ~!


つまり適切なブラシを使って描くこと、そして写真素材を適宜活用することで背景を描くハードルがグッと下がります!
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特殊ブラシで地面を描く方法
ザラザラした岩の質感や砂利の雰囲気を出せるブラシを使います。
❶ 地面(質感)ブラシ
細かい岩の質感を表現できるブラシ。
画面手前~画面奥でブラシのサイズに変化を出すことで、遠近感のある地面を表現できる。
画面手前:ブラシサイズを大きめに設定して横方向一直線に動かす。あまりタッチは重ねない。
画面奥 :ブラシサイズを小さめに設定。ジグザグに動かして細かいタッチを重ねるようにする。

★1回のタッチで描画できる質感はこんな感じ。
ブラシを斜め下方向に小さく動かす。筆圧を変えることで、濃淡を表現できる。
❷ 地面(荒い質感)ブラシ
①の質感ブラシより荒い地面が描ける。
基本的に地面の質感のベースを作るのに適している。

ブラシサイズを大きめにして横方向に動かす。
❶のブラシのように画面全体に描くのではなく、横方向に1回動かすだけで、ある程度まばらな質感が出せる。
➌ 地面(影)ブラシ
地面のくぼみや小石の影を描くブラシ。
画面手前~画面奥でブラシのサイズに変化を出すことで、遠近感のある地面を表現できる。
画面手前はブラシサイズを大きめに、画面奥はブラシサイズを小さめにすると◎。
斜め下方向に短くスッと動かすことで綺麗な影を描ける。
ちなみに↑のブラシはこちらの技法書に特典として付いてるブラシを使っています。
ブラシ素材集
ゾウノセ (著), 角丸つぶら (著) (ホビージャパン)
この技法書には水面の他にも、葉っぱ・森・樹木・地面・岩・山・草原・雲など自然物やビル・街並み・アスファルト・レンガ・金属など人工物を簡単に描けるブラシが全部セットになってます。
ぶっちゃけこの1冊で大抵の背景が描ける、チートな技法書。
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それではブラシを使って実際に地面を描いていきます。
工程は以下の通り。
地面を描く手順
- グラデーションで地面の下地を作る
- 地面の影を描く
- 地面の明るい部分を描く
- 地面の質感を強化する
- グラデーションで明暗を強調する
- 細部を微調整する
①:グラデーションで地面の下地を作る
『手前は濃く暗く・奥に行けば行くほど明るく』遠近感を出していきます。
❶ 1色でベタ塗りした地面のベースを作ります。
❷ ベースのレイヤーの上に新規レイヤーを作成。レイヤーモードをスクリーンに変更します。
グラデーションツール(モードは描画色から透明色)を赤矢印の方向に動かし、画面上が明るくなるようにグラデーションを掛けます。
②:地面の影を描く
地面(影)ブラシで地面の影を描いていきます。
❶ 一番上に新規レイヤーを作成し、レイヤーモードを乗算に変更します。
★コツは斜め下方向に短く、細かいタッチを繰り返すこと。
普通のブラシのように塗り重ねるとくどくなり過ぎるので、1回短くタッチする毎に画面からペンを離すと綺麗な質感が描けます。
③:地面の明るい部分を描く
次に地面の明るい部分を描いていきます。
一番上に新規レイヤーを作成し、レイヤーモードをスクリーンにします。
❶ 先ほど描いた影の部分と重なると汚くなってしまうので、レイヤーマスクを作成して影部分には描けないようにします。
キーボードのCtrl(Macは⌘)を押しながら影レイヤーのサムネイル部分をクリックして、影部分の選択範囲を作成します。
❷ スクリーンレイヤーが指定されているのを確認した上で、レイヤーメニュー ⇒ レイヤーマスク ⇒ 選択範囲をマスク をクリックします。
これで影部分にレイヤーマスクが作られ、影部分には描けなくなります。
➌ 地面(荒い質感)ブラシで明るい部分をざっと描いていきます。
ブラシサイズを大きめにして横方向に一直線に動かします。
細かく塗り重ねるのではなく、なるべく1回で真横に動かすのが綺麗な質感を描くコツです◎!
④:地面の質感を強化する
地面(質感)ブラシでさらに細かい質感を足します。
地面(質感)ブラシは地面(荒い質感)ブラシに比べて細かい質感を再現できます。
❶ 一番上に新規レイヤーを作成し、レイヤーモードをスクリーンに変更します。
画面手前⇒ブラシサイズを大きめに設定して横方向一直線に動かす。
画面奥 ⇒ブラシサイズを小さめに設定。ジグザグに動かして細かいタッチを重ねる。
感じで、画面手前と奥とで質感の密度の差を出すのがポイントです◎。
⑤:グラデーションで明暗を強調する
グラデーションツール(モードは描画色から透明色)で、明暗を出していきます。
❶ 一番上に新規レイヤーを作成し、レイヤーモードを加算(発光)に変更します。
赤矢印の方向にグラデーションを掛け、画面奥にいくにつれて明るくなるようにします。
❷ 上にもう1枚新規レイヤーを作成、レイヤーモードを乗算に変更します。
今度は❶とは反対に、下方向からグラデーションを掛けて画面手前が暗くなるようにします。

⑥:細部を微調整する
一番上に新規レイヤーを作成し、レイヤーモードを加算にします。
※加算(発光)ではないです。加算は加算(発光)とスクリーンの中間くらいの明るさのイメージです。
赤色が加筆した箇所。(分かりやすく色を変えています。)
明るい所を中心に質感を加えたり、質感同士を繋げて光の面を作ったりします。

地面を描く手順
- グラデーションで地面の下地を作る
- 地面の影を描く
- 地面の明るい部分を描く
- 地面の質感を強化する
- グラデーションで明暗を強調する
- 細部を微調整する
まとめ ブラシと写真の活用で複雑な海を攻略
地面を描く手順
- グラデーションで地面の下地を作る
- 地面の影を描く
- 地面の明るい部分を描く
- 地面の質感を強化する
- グラデーションで明暗を強調する
- 細部を微調整する。
広い範囲を塗りつぶす時はボールペンではなくマジックペンを使うように、描く背景に適した特殊ブラシを使うことで、背景の難易度はぐっと下がります!
また地面は特に細かい質感を出す必要が有りますが、画面手前は質感を大きく、画面奥にいくにつれて質感を小さくすると、遠近感のある背景になります。
◆ブラシや写真素材はズルではない
ブラシや写真はそれ自体ではイラストにはなりません。
1枚のイラストとして成立させるためには、
- ブラシのタッチ
- 効果レイヤー
- 素材同士を馴染ませる加筆
などなど、様々な技術や知識が必要になります。
1枚のイラストとして完成させられたのならそれはあなたの立派な画力だし、作品。
ぜひ素材や写真を上手く活用して、背景イラストの世界に踏み込んでみてください!
そして微力ながら、この記事がその第一歩を後押しするキッカケになれば嬉しく思います!
↓他にも背景や写真加工に関するメイキング記事を用意してみました。↓
https://kuro-navi.com/category/draw-background


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