という事で今回は、”先に色を塗って”目を簡単に描く方法をまとめてみました。
こんな方におすすめ
- うまく目が描けないと悩む方
- 目を描くと形が歪んでしまう方
本記事の内容
- 先に色を塗ることで目を描きやすくする方法
- 少ない工程で見栄えのする目の描き方一例
目はキャラの顔の印象を大きく左右する一番重要なパーツです。
目=キャラの顔の完成度、といっても過言ではありません。
でも目って奥行きや立体感が難しい…。
特に斜め顔は、目の形が崩れたり、焦点がチグハグになってしまう……なんて事故も起こりやすいです(汗
僕自身目には何度も悩まされてきました…。
その経験から、原因は、線に惑わされていることなのでは?と思い至りました。
目を描く時、一般的には最初に線を描いていくと思います。
まつ毛の線を描いて、瞳の円を描いて、色を塗る…。
何も無い所からいきなり線を描いていく…。
これ、数々の技法書で当たり前に紹介されてますが、実は結構上級者向けのやり方です。
では逆に下図の場合はどうでしょうか?
先に色を塗って目のシルエットを用意してあげることで、どこに線を引けばいいのかが分かります!
先に目の形が完成してるので、形が崩れる心配もなくなります。
こんな感じで今回は、先に色を塗って目のシルエットを作ることで、目を描きやすくする方法をご紹介します。
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目が描けないのは”線に捉われているから”説
まず軽く前提の話をします。
僕はこの前提を理解してから、目だけでなく、他の身体のパーツを描く時も少しラクになりました。
イラストの線。
あれは3次元の実物を2次元の絵で表現するにあたって、輪郭(アウトラインとも言う)を再現するための補助線に過ぎないのです。
僕も専門時代にこの前提をデッサンの先生に気付かせてもらったことで、イラストの描写力が一気に向上したと感じています。
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という事で、本題の目の話に戻します。
- 目の形が崩れる
- 手前と奥の目で違和感が出る
- 瞳の曲線が歪む
- 目の焦点が左右チグハグになる
- 目を立体的に描けない
……etc
等の失敗の原因は、輪郭線を引くことに集中しすぎていることである可能性が高いです。
- まつ毛は綺麗な線で整えなければ…
- 瞳は綺麗な曲線を引かなければ…
などなど、線を引くことに注力しがちです。

線はあくまで輪郭を再現するための補助線。
先にシルエットがあれば、どこに線を引けばいいかが分かり描きやすくなります。
このように、特に初心者のうちは目の形を作る工程と線を整える工程を分けた方がいいです。
一気にやろうとすると大体事故ります…。(経験談)
簡単な目の描き方は、まず”色を塗る”こと
通常先に線を引くところ、先に目の形を塗る方法です。
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目の描き方は4ステップ
目を描く手順は下の通りです。
- 白目と瞳を塗る
- 輪郭を線でなぞる
(まつ毛のベースになります) - まつ毛を整える
- 瞳の中を描く
❶ 白目と瞳を描く
白目と瞳を色で塗ります。レイヤーを分けておくと後から形を調整しやすいです。
この時点では可愛い目を描き込む必要はありません。
目の形とバランスを整えることに全集中です。
分かりやすいように白目の色を見やすい色にしています。

❷ 輪郭を線でなぞる
目の輪郭を線でなぞります。まつ毛のベースとなります。
ポイントは、この段階ではただ線を引くだけでOKということです。
のちの工程で可愛いまつ毛にしていくので、この時点では下描きを描くイメージで、単純になぞるだけにします。
(…最初から描き込もうとするとバランスが崩れる原因になっちゃいます(経験談…))
➌ まつ毛を整える
まつ毛を可愛く整えていきます。

❷で描いた線を
- 一部太くしたり・細くしたり、
- 先っぽを尖らせたり、
- 二重の線を描いたり、
- 色を変えたり
していきます。
先にまつ毛の下描きができているので、少し手を加えるだけでOK。
こんな感じで、目の形を作る工程と線を整える工程を分けた方が綺麗な目を描きやすいです。
❹ 瞳の中を描く
瞳の輪郭を線でなぞったり、黒目を描いたりします。
黒目は太めのブラシで楕円を描くようにすると描きやすいです。

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以上が基本的な目の描き方です。
ただこれだけだとちょっと味気ない目なので、次の章では比較的少ない工程で見栄えのする目を描く一例を紹介します。↓
少ない工程で見栄えのいい目を描く方法
次に比較的少なめな工程でそこそこ見栄えのする目の描き方を解説します。
工程は全部で4つです。
- 影とハイライトを描く
- 目の中を鮮やかにする
- まぶたの落ち影を描く
- 透明感を出す
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影とハイライトを描く
❶ 『乗算』レイヤーを作成し、瞳の上部に影を描きます。
また虹彩を描きます。今回はシンプルに輪っか型にしました。
❷『加算発光』レイヤーを作成し、ハイライトを描きます。
目の下部に入れる大きなハイライトについては、メインカラーとは少し色味を変えると映えます。
目の中を鮮やかにする
『ハードライト』レイヤーを作成し、装飾を施します。
挿し色は補色(カラーサークルで反対に位置する色)、もしくは補色に近い色を入れると映えます。
⇨ 今回はメインからーが水色なので、補色の赤系の色を入れました。
まぶたの落ち影を描く
『焼き込み(リニア)』レイヤーを作成し、まぶたの落ち影を描くと今っぽい仕上がりになります。
右図の赤い部分が塗った範囲です。塗り重ねすぎると暗くなりすぎるので、エアブラシ等で薄くさっと塗るのがコツです。
透明感を出す
『スクリーン』レイヤーを作成し、映り込みを薄く描きます。
これにより目に柔らかい透明感を加えることができます。
まつ毛にも化粧を施していきます。
『オーバーレイ』レイヤーをまつ毛のレイヤーの上に作成し、クリッピングします。
(※クリッピングをするとまつ毛からはみ出さなくなります。)
エアブラシで赤系の色を薄く乗せると華やかな目元になります。
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最後に髪や顔も描き足した完成図です!
まとめ~目は先に色を塗ると楽!
今回お話した、先にシルエットを描いて⇒線を描く方法。
『イラストは線で描くもの』
というのが常識なので、最初は少々違和感があるかもしれません。
(歴史を遡ると浮世絵をはじめ、日本は線で表現する文化が根付いているから…というのも一因なのかもしれません。)
どちらの描き方・表現方法が正しいか/優れているかという話ではなく、時にいつもとは違うやり方で描くと新しい活路が拓けることもある…という実体験から今回の記事を書いてみました。
特に初心者のうちは目の形を作る工程と線を整える工程を分けた方が圧倒的に描きやすい、と考えています。
今回紹介した先にシルエットを塗る方法は、最初に目の形が完成するので、バランスが崩れる心配がなくなるので、目が上手く描けない…と悩む方のヒントになりますと幸いです。
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